2007年03月21日

非公開会社における取締役制度

◆取締役会設置会社以外の株式会社に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

ア 当該株式会社の定款で定めた取締役の員数が1名であるときは,取締役は,仮処分命令により代表取締役の職務を代行する者が選任されない限り,代表取締役となる。

イ 当該株式会社においては,取締役の過半数の同意により一部の取締役について当該株式会社の業務を執行しないものとすることはできる。       

ウ 仮処分命令により選任された代表取締役の職務を代行する者は,仮処分に別段の定めがある場合を除き,当該株式会社の代表取締役と同一の権利義務を有する。

エ 当該株式会社が取締役に対して訴えを提起する場合には,株主総会において当該株式会社を代表する者を定めなければならない。

オ 当該株式会社の取締役が自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは,株主総会においてその承認を受けなければならない。′
1 アイ  2 アオ  3 イウ  4 ウエ  5 エオ















































■正解…2

ア.○ その通りです。349条によれば、取締役は会社を当然に代表することになります。取締役が一人しかいないのであれば、それは当然に代表取締役です。


イ.× 間違いです。 348条1項によれば「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社の業務を執行する。」とあり、さらに 348条2項によれば「取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。 」とありますので、取締役の過半数同意があっても取締役に職務執行の権限がないものとすることはできません。


ウ.× 間違いです。取締役の職務を代行する者の権限について定めた352条は「…代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。」とありますので、通常の代表取締役と同一の権限を持つわけではありません。

エ.× 間違いです。三百四十九条4項にある通り、「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」ので、訴訟でも代表取締役が会社を代表します。しかし、株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表について定めた353条は、「…株式会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。」と任意的に設置可能としています。必要的ではありません。


オ.○ その通りです。競業取引の規制について定めた356条は、「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一  取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 …」としています。


★参照条文

(業務の執行)
第三百四十八条  取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2  取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3  前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一  支配人の選任及び解任
二  支店の設置、移転及び廃止
三  第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四  取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五  第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4  大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。

(株式会社の代表)
第三百四十九条  取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2  前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3  株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
4  代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5  前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(代表者の行為についての損害賠償責任)
第三百五十条  株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

(代表取締役に欠員を生じた場合の措置)
第三百五十一条  代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の一時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。
2  前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任することができる。
3  裁判所は、前項の一時代表取締役の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。

(取締役の職務を代行する者の権限)
第三百五十二条  民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
2  前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
第三百五十三条  第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、株式会社が取締役(取締役であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができる。


(競業及び利益相反取引の制限)
第三百五十六条  取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一  取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二  取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三  株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2  民法第百八条 の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。
posted by 中川総合法務オフィス代表 at 22:56| 京都 | Comment(0) | TrackBack(0) | 企業法務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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